競売にかけられても取下げはできるし、住み続けることも出来る

By | 2012年4月17日

栃木県東部にお住まいのお客様(Y様)から悲痛の電話が鳴った。

ご主人の体調が芳しくなく、入退院を繰り返している。奥様のわずかなパート収入とY様の年金で完済年齢まで支払い続けるのは無理な状況。

真面目なY様ご夫婦は「借りたお金は返さなければならない」と一生懸命返済していたが、ついに裁判所から担保不動産競売開始決定が届いた。

慌てた奥様が、当社のダイレクトメールをご覧になり、藁をもつかむ思いで電話してこられた。

どうされましたか?の私の問いに。競売になってしまいました。 主人も入院していてその付き添いとパートで疲れ果ててもうどうして良いか分からないのです。

 

いっそ死んでしまいたい・・・ その声は力なく、事態は深刻とすぐにわかった。

 

幸い同じ方向に用事があったので、すぐにご自宅にお伺いする事を告げ、必要な書類を用意してお客様のご自宅へ向かう。

 

最寄駅から少し離れた旧市街地にご自宅はあった。大きな門構えと立派な庭を作られた2階建ての一軒家。先祖代々の土地に20数年前建て替えたとのこと。

室内はキチンと整理整頓され、Y様と奥様の几帳面さと真面目さがすぐに伺えた。

大変混乱されている奥様を安心させるべく、当社で用意した登記簿謄本と裁判所から送られてきた担保不動産競売開始決定を見ながら質問をはじめた。

奥様はこのご自宅をどうされたいですか?との私の問いにビックリされた様子。黙って目を見開いている。

 

何かご希望はございますか?と再び私。 唖然としたようすで言葉が返ってきた。 競売にならない方法あるのですか?と奥様

 

はい。と笑顔の私。

 

もともと体の丈夫ではないY様は以前から仕事は休みがちで、給料が少ない月は少し金利は高いが自宅の為と消費者金融からお金を借りたり返したりの繰り返し。税金もだいぶ昔から滞納されていると言う。

ついに住宅ローンが苦しくなって、まず、借入をした金融機関にご主人と出向き、支払が大変だからどうにかして欲しいと相談に行ったが、年齢と安定収入がないということで、ほとんどとりあってもらえなかったとのこと。

住宅ローンが滞りがちになり、市役所の法律相談で弁護士に相談するも、自己破産しかないね。と ほとんど話しを聞いてもらえなかったとのこと。真面目なご夫婦は破産に対する抵抗があったため、ますます不安になってしまったとのこと。

もう自宅は売却するしかない。と思い、地元の不動産業者に数社相談するも、税金の差押がついているから役所に税金全額払ってもらわないと売るに売れませんよ。と言われてとうとう打つ手がなくなり今日に至ると涙ながらに説明してくれました。

裁判所以外にもいろいろな催告書や督促状といった手紙が金融機関から送られてきて不安はつのるばかり。ついに競売か・・・と思ったそうです。

ここでYさんは少し勘違いをしていました。

裁判所から担保不動産開始決定が送られてきても、実際に入札が始まるまでに数ヶ月かかるということを知らず、すぐにどこかへ引っ越さなければならないと思っていたこと。 差押をされたら自由に売買する事ができないと思っていたこと。

電話での真面目な印象と登記簿謄本の情報から、助けられる!と直感した私は

「今回の事、身内のどなたかに相談されましたか?」と聞くと、「いいえ、お金のことで身内に相談するなって主人に言われてましたから・・・」と奥様

数日後急いで緊急家族会議を開催してもらう事に。3人の成人された子供達と近くに住んでいらっしゃるご兄弟。Y様は長男だったのを聞いていたので、きっとご自宅が本家であることを推察。場所はY様の病院の相談室のような部屋を借りた。このとき初めてY様にお逢いしたが、奥様同様不安そうなご様子。

話しずらそうなY様夫婦に代わりわたしから現状を説明。 なんとなく分かってはいたが、やっぱり・・といった雰囲気。それと同時に競売という言葉を聞いて辛い雰囲気が漂う。 子供からはもっと早く相談してくれれば的な発言。 先祖代々の土地なのに・・・とご兄弟。 それぞれいいたい事を言っている。

ひととおり言いたい事を言い尽くした頃合をみて「皆さん、Yさんの土地建物を守る為にいくらまでなら援助できますか?」と私。

実は真面目なYさんご夫婦のこの自宅。残債が約500万円だったのだ。

税金の差押登記もあり、延滞金約400万円!を含め総額約600万円。競売申立費用と損害金を抜いても合計1100万円。Yさん宅は市場価格では800万円といったところである。確かに普通の不動産業者では売るに売れない。

Yさん夫婦と子供達のできれば自宅は手放したくはない!お身内の方々の先祖代々の土地を守りたい!とういう気持ちが合致し皆で協力していく事に。

お身内で協力いただけない場合は、当社または投資家様に買っていただき、リースバックですみ続けてもらおうと思っていたが

お身内全員で協力して取下げにかかるお金を工面する事に。500万円と競売申立費用約40万円を金融機関に支払い、(遅延損害金は免除してもらった)担保の抹消と競売の取下げを行い、

役所へはY様の奥様と私でY様の窮状を説明。(ここには書けないような条件で)差押解除の同意いただいた。これでいつでも所有権移転はできるのでお金を出されたご家族も安心。

消費者金融への過払い請求を弁護士に依頼。永ーいお付き合いだったY様にはまとまったお金が返ってきそう。もちろんお金が戻ってきたら真っ先にお身内への返済と税金を払うとおっしゃってました。

今回は無理に第三者へ売却する事を選択せず、Y様ご家族の平穏を第一に考え敢えて任意売却を選択しなかった。それは、借りたお金はきちんと返済したい というY様ご夫婦の希望であり、誇りであると判断したからだ。 これからはお身内に対して少しずつ返済していくとのこと。

 

今回のお客様はビジネスとして1円にもならなかったが、全員からたくさんの「ありがとう」がいただけた。特にY様ご夫妻は泣きながら私の手をなかなか離してくれなかった。

 

こういう仕事をしていると、お金ではない尊いものと出会うときがある。

 

きっと、Y様のご家族は、次に不動産の取引があるときは私を指名してくれるだろう・・・笑

そう信じて、封筒に入っているであろう謝礼を頑なに拒んでその場を後にした。

お金の問題は早めに専門家に相談することによって解決できると信じている。

 

よき相談者となりもっとありがとうと言ってもらえるように頑張ろうと帰りの車の中で誓った。そんな一日だった。

 

相談は http://任意売却で解決.com フリーダイヤル 0120-963-744

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